レイリー波を用いた弾性表面波モーターの研究は,動作の実証から始めて,長年取り組んできた研究課題でした。たわみ波を用いた進行波型リニアモーターは,最初に取り組んだ超音波モータの研究課題です。
弾性表面波モーター

駆動周波数9.6MHzの弾性表面波モーター。弾性表面波基板の両脇にリニアガイドを設置し,板ばねを介してスライダーに予圧を加えています。
スライダーの移動速度は無負荷時で50cm/s程度が可能。静止時の最大推力としては20N程度を取り出すことができます。予圧などの設定によりますが。
スライダーの摩擦駆動表面は,微細な多数の突起を形成した構造とすることで,安定した摩擦駆動を行えるようにしています。予圧印加機構の安定化も重要。

弾性表面波基板の左端には駆動用のすだれ状電極(IDT)とその後方に反射器を設置。右端には受波用のIDTと反射器を設置しています。
駆動用IDTから励振されたレイリー波は基板表面を伝搬し,スライダーを駆動します。スライダー下を伝わった波は受波用のIDTで電力に変換され整合負荷抵抗で吸収。

弾性表面波基板はニオブ酸リチウム(128°回転Y-X伝搬)を使用しています。電極はアルミニウムの蒸着とエッチングにより形成されています。
本来無色透明な材料ですが,温度変化などによる自発分極で割れることを防ぐ為に,一部の酸素を抜いて絶縁性を少し低下させた基板を使っています。
たわみ波モーター

駆動周波数約27kHzの細棒に伝搬するたわみ波の進行波を用いたモーター。導波路となる細棒を,横方向から励振することでたわみ波を励振しています。
両端端部に取り付けられた超音波振動子の一方は,強力な縦振動(振動子の軸方向伸縮振動)を励振。他方はその振動を受けて整合負荷として電力に変換します。
細棒を伝搬するたわみは波は,終端が整合負荷状態なので,完全な進行波が励振されます。この進行波により細棒を挟んでいるスライダーは摩擦駆動されます。

ランジュバン型振動子(BLT)は,最大2kWの高周波電力を超音波振動に変換します。エクスポネンシャルホーンにより,振動は5倍に変成され,細棒を駆動します。
2つのホーンで細棒を挟み込む構造とすることで,強力な超音波振動を伝えています。
細棒の機械インピーダンスと,受波側のホーン先端から見た機械インピーダンスが一致するように抵抗Rを調整しています。